ソーシャルメディアが社会に及ぼす影響について

ソーシャルメディアは、ここ十数年、世界中の人々の間で一番人気のあるコミュニケーション手段であることは間違いありません。人々は交流するため、お互いのことを知るため、相手と連絡を取るため、広告のため、情報収集のためなど、あらゆる目的のために利用しています。

このような世界的流行に抗って、どのソーシャルメディアのアカウントを持っていない人は、本当に数少ないでしょう。

ソーシャルメディアは、インターネットがもたらした最大の恩恵のひとつであり、本当に私たちの生活の質を向上させたという事実に同意する人が大多数でしょう。事実、新しい人との出会いや古い友だちとの再会、転職やキャリアアップのチャンス、情報や意見の交換までにも役立っています。

ところで、ソーシャルメディアが私たち人間のメンタルヘルスにどのような影響を与えるか、考えたことはあるでしょうか?ソーシャルメディアは、私たちにプラスの影響を与えるよりも、マイナスの影響を与えると思いますか?現代社会にいったいどのような影響を与えるかについて、詳しく見ていきましょう。

 

ソーシャルメディアと人間関係

ソーシャルメディアの普及を受けて、特に懸念されている点は、ソーシャルメディアの利用が親密な人間関係を悪化させるのではないか?ということです。この現象は「ソーシャル・ディスプレースメント(social displacement)」と呼ばれています。

実をいうと、世界で初めて電話が発明されて以来、いやそれ以前から、人々はこの現象を恐れていました。過去100年以上にわたって、オフラインでの居場所がなくなってしまうことが問題視されてきたのです。どのようなテクノロジーが新しく発明されようとも、親しい友だちや家族と直接対面する時間がいずれテクノロジーに取って代わられるのでは?と懸念されているのです。

とある研究において、対象者がソーシャルメディアの使用を控えるよう奨励された週とそうでない週に分けて行い、さまざまな19つの活動に費やした時間をそれぞれ毎日記録しました。ソーシャルメディアの使用を控えた週では、インターネットの閲覧、仕事、掃除、家事などに費やす時間が長くなりましたが、親しい友だちとの交流に費やした時間については、ソーシャルメディアの使用を控えなかった週との差は特に見られませんでした。

その理由として、親しい友だちとの交流は、ソーシャルメディアだけでなく、メッセージやメール、電話、直接の対面など、さまざまな手段で行われていることが考えられます。

 

ソーシャルメディアがもたらしうる危険

若い世代、特に10代は、ソーシャルメディアによって社交の輪を広げ、学校の友だちだけでなく、遠く離れた友だちや家族とも連絡を取り合うことができるので、その恩恵を大きく受けているといえるでしょう。また、クリエイティブな活動の場としても大いに役立っているようです。

しかしその一方で、危険も存在します。複数の世論調査によると、10代の若者の13%が少なくとも一度は「ネットいじめ」の被害にあった経験があると答えています。さらに、ソーシャルメディアは、暴力的なシーンや画像、ポルノなど、未成年にとって不適切なコンテンツへアクセスしてしまう可能性もあります。

もし皆さんが、ソーシャルメディア上でのトラブルに巻き込まれたらどうしますか?万が一のトラブルにどう対処・予防するか考え、自分をコントロールする時間と空間を持ったうえで、ソーシャルメディアを利用している人が大半でしょう。がしかし、どんなに自分で気をつけていても、ソーシャルメディアの影響により、意見の対立がより加速かつ長期化し、状況が悪化してしまう可能性も十分あるのです。

また、ソーシャルメディアには、噂や画像を急速に拡散させるという特徴があるため、ネットいじめを助長し、被害者のメンタルに悪影響を与えてしまうかもしれません。ソーシャルメディアが一般化した今の時代には、誰かから・何かから離れるための空間や時間を見つけることが余計難しくなっているのです。こうした側面から見ると、孤独さを感じるかもしれませんが、ソーシャルメディアは24時間365日止まることなく動いているため、本当の意味で孤独になることはありません。